民法第921条1号は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認したものとみなし、以後、その相続人が相続放棄や限定承認をすることを認めていません。
では、相続人が相続財産から葬儀費用を支出した場合、この相続人は単純承認したとみなされてしまうのでしょうか。
この点につき、最高裁判所の判例は存在しないようです。
しかし、下級審の判例では、遺族として当然営むべき程度の葬式のための費用に遺産を使うことは921条の処分に当たらず、単純承認にならないと判断したものがあります。
また、社会的に相当な仏壇や墓石の購入も921条の処分に当たらないという判例もあります。
いずれにしましても、明確に「この程度の出費なら大丈夫」という基準はありません。
後日になって債権者から法定単純承認を主張されないようにするためにも、可能な限り遺産から葬儀費用を支出することは避けたほうが無難だと思われます。
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